「母親喫煙」子供への影響、父親の場合の4・5倍に
 
母親が喫煙する家庭の子は、父親が吸う場合に比べ、体に入ったニコチンの分解物質(コチニン)の値が約4・5倍となることが、埼玉県熊谷市の小学4年生約1000人の調査で明らかになった。

 生活習慣病の予兆がある子は、受動喫煙しやすい家庭環境が多いことも判明。同市は小学4年生の希望者を対象に、全国でも珍しい「受動喫煙検診」を行うことを決めた。

 研究を行ったのは市内の開業医、井埜利博・群馬パース大客員教授ら。2002年からの5年間で、両親が調査に同意した熊谷市の小学4年生計1048人を対象に、尿に含まれるコチニン濃度を調べたほか、両親の喫煙習慣、喫煙場所などをアンケートで尋ねた。

 その結果、父親だけが吸う家の子はコチニン値が平均で1ミリ・リットルあたり約4・5ナノ・グラムだったが、母親だけが吸う子は平均で約21ナノ・グラムだった。

 母親だけが喫煙する家庭の子は、両親とも吸わない子に比べ、尿のコチニン濃度が約10・5倍に高まった。母親が外やベランダで吸っている場合でも約4・5倍になり、吸う時だけ場所を移っても、受動喫煙の影響が出ることがわかった。また、肥満や血圧が高い傾向がある子は、そうでない子に比べてコチニン値が約3倍になり、生活習慣病になりやすい傾向もみられたという。

 こうした結果を受け、熊谷市は、児童の尿中コチニン値を調べる受動喫煙検診を、小学4年時に行う小児生活習慣病検診に合わせて、今月から希望者に実施することを決めた。

(2007年10月9日14時35分 読売新聞)