受動喫煙:認知症の発症リスク高まる。

血管に影響。他人が吸ったたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」が長期間に及ぶと、認知症の恐れが高まるとの分析を、米カリフォルニア大が公表した。受動喫煙と認知症の関係に注目した初の本格調査といい、同大は「受動喫煙が血管に影響を与え、発症のリスクを高めているのではないか」と推測している。

 認知症は高齢者を中心に知能の働きが低下する障害で、主な原因には、脳こうそくなどの血管障害とアルツハイマー病がある。

 たばこが中枢神経系に与える影響を探る目的で調査を実施。研究に協力する65歳以上の市民3602人のうち、過去に喫煙歴や心血管疾患がない985人(66〜92歳)を6年間、追跡した。

 このうち、受動喫煙があった人は495人で、その期間が30年以上だと、認知症の発症率が約1.3倍になることが分かった。30年未満の人では、受動喫煙の影響を受けなかった人と発症率の差はほとんどなかった。

 また、30年以上の受動喫煙者のうち、脳に血液を供給する頸(けい)動脈の狭さくが見つかった人では、認知症を発症する率が約2.4倍とさらに高かった。30年未満の受動喫煙者でも約1.3倍だった。喫煙は動脈硬化の危険因子とされ、狭さくもその一種。【田中泰義】

毎日新聞 2007年6月26日 11時03分